|はじめに|

 史上最年少の17歳2ヵ月で一億円プロゴルフプレーヤーになった石川遼選手の母親の言葉が、ある雑誌に紹介されていました。それによると、石川選手は自分自身に今何が大事かを知っていて、親があれこれ言うまでもなく、夜8時には就寝し、朝5時には起床してトレーニングするとのことです。携帯電話のメールも最小限度にとどめ、ゲーム機も持っていないとのことです。この本のなかで、睡眠の役割は大脳の休息だけでなく、睡眠中に運動技能の習得、向上がなされていることを紹介しますが、さすがに一流選手は、睡眠の機能をよく理解し、最大限に活用しているといえます。
 北京オリンピック平泳ぎ金メダリストの北島康介も、ヒトの睡眠・覚醒リズムをよく理解しています。準決勝後のインタビューで「夜だったらもっと良い記録が出たのに・・・・・・」と話していました。過去多くの陸上競技世界記録が、夕方から夜の時間帯に出ています。この時間帯は、人間の体温が最も高く、脳や体が最も目覚めている時間帯であることを知っていたのでしょう。
 陰山英男先生(立命館大学)は、100マス計算の実践で子供の学力を飛躍的に改善したことで有名です。彼が広島で校長をしていたときのことを次のように述べています。
 「尾道市の土堂小学校には地域の教育力がある。例えば朝ごはんをきちんと食べさせてほしい、と僕たちが言えば、保護者もきちんと実践してくださる。子どもたちは朝から元気で活発に遊び、体に力もつく。小学校6年生になっても、夜の9時半に寝ている子が半数以上いて、朝も6時前に起きている子が2割近くいる。早寝早起きの習慣がついているのだ。ところで学習時間は1971年の方が多かったのに、その当時の子どもたちの方がゆとりを感じていたと思う。なぜか。それは、よく寝ていたからだ。寝れば頭がすっきりし、集中して学習にも取り組むことができるし一日を有意義に過ごせ、心理的にも余裕が生まれる。その状況を悪くさせたのがテレビ、インターネット、携帯電話の普及だ。1日2時間以上をインターネットや携帯電話などに費やし、多くの情報にさらされ、睡眠時間を削られている。子どもたちの精神に与える影響は計り知れない。」
 睡眠は、「脳を創る」、「脳を育てる」、「脳を守る」、「脳を修復する」という大切な役割を担っています。適切な睡眠は、子供の成長発育において、最も重要です。

 
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