|目 次|

まえがき iii
第一部 シカゴ学派の思想・科学
第一章 サムナー・ウォード・スモールにおける「科学」と「改革」
     ―シカゴ学派に先立つ創立者たち― 徳川直人 2

 一 社会の科学と法則の支配 2
  1 「改革」と「科学」の交錯 2
  2 基点としてのコントとスペンサー 3
  3 「法則」の支配とデモクラシー 5
 二 W・G・サムナー 7
  1 社会原動力 ― 競争と自己救済 7
  2 フォークウェイズ ― エスノグラフィーから倫理の再構成へ 9
 三 L・F・ウォード 12
  1 ソシオクラシー ―― 法則のコントロール 12
  2 応用社会学 ―― 実験室としての社会 14
 四 A・W・スモール 17
  1 AJS創刊 ―― 社会学・リベラリズム・そして都市へ 17
  2 「社会過程」へ―― 相互作用論の端緒 20
 五 むすびにかえて 22


第二章 W・I・トマスと「社会心理学」の形成 藤澤三佳 27
 一 「社会心理学」の領域の開拓 28
  1 社会的ダーウィニズム(特に本能論)からの脱却 28
  2 「社会心理学」の領域設定 29
  3 構成心理学から機能心理学、社会心理学への展開 31
  4 個人と社会の相互作用的観点 32
 二 解体と再組織化論 34
  1 社会解体と再組織化 34
  2 個人解体と再組織化(社会的パーソナリティ論、四つの願望論) 36
 三 トマスの「状況の定義」概念 39
  1 社会的な状況の定義と個人的な状況の定義 39
  2 未来構成的な状況の定義 42
 四 まとめ―― トマスの理論図式―― 45


第三章 G・H・ミードの思想形成過程 加藤一己 53
 一 初期プラグマティズムによる弁証法の批判的継承 53
  1 ミードの基本問題「特殊と普遍の問題」 53
  2 プラグマティズムによる弁証法の救済 54
  3 プラグマティズムによる「特殊と普遍の問題」の解決 56
  4 初期ミードの科学的方法 58
 二 中期における行為の弁証法としての発生論の構築 60
  1 初期プラグマティズムの問題点 60
  2 中期における、自我と思考の発生論の構築 62
   (1)社会的行為の定式化と、自己刺激・自己反応論 62    (2)公刊論文 おける「I・me」論 64
   (3)『IS』における思考の位置づけと、中期
    「I」の性質 67
  3 中期における弁証法の深化と残された課題 69
 三 晩期における社会秩序論 71
  1 初期・中期(第一次世界大戦以前)の社会秩序論 71
  2 第一次世界大戦と具体的普遍 72
  3 具体的普遍にもとづく晩期の社会秩序論 75

第四章 G・H・ミードにおける科学と実践 徳川直人 80
 一 発掘の衝撃 80
  1 史実と解釈 80
  2 「改革起源」の示唆 81
  3 社会心理学の性格と課題 82
 二 科学の方法 84
  1 ミード科学論の性格 84
  2 古代科学の世界像 85
  3 目的論的世界像の批判 87
  4 近代科学の世界像と、個人像の変容 87
  5 実証主義と合理主義の批判 89
 三 時間の構成 90
  1 変わる過去 90
  2 過去を方位づける現在 91
  3 意味を創発させる現在 92
  4 現在に対する解釈と制御にかかわる過去 95
 四 むすびにかえて 96
  1 プラグマディズム 96
  2 テクノクラシー批判 97
  3 行為の哲学 99
  4 異なるパースペクティブの交差 101


第五章 都市社会学の原型
     ― R・E・パークと人間生態学 ― 吉原直樹・桑原 司 105

 一 シカゴ・ソシオロジー再考の文脈 106
  1 再考の文脈 106
  2 シカゴ・パラダイムの相対化 107
  3 パークへのまなざし 108
 二 シカゴ学派の制度的文脈とパークの人間生態学 108
  1 アカデミック・ソシオロジーの制度化 109
  2 歴史学派の末裔としてのパーク 109
  3 パークと人間生態学 110
 三 コーポレイト・リベラリズムと〈臨床社会学〉の間 113
  1 コーポレイト・リベラリズムと「衝撃都市」の社会学 113
  2 〈臨床社会学〉としてのシカゴ・ソシオロジー 115
  四 シカゴ・ソシオロジーは〈統合の社会学〉か? 116

第二部 シカゴ学派モノグラフの世界
第六章 シカゴ・スタイル― シカゴ学派の調査法 ― 中野正大 122
 一 パークとシカゴ学派 123
 二 シカゴ・モノグラフの誕生 129
 三 シカゴ・モノグラフの一例 ―『タクシー・ダンスホール』― 132
 四 調査法としての参与観察 136
 五 エスノグラフィー法 ―― 多角的方法―― 144
 六 おわりに ――多角的方法のさらなる展開―― 147

第七章 社会的世界と「社会解体」 宝月 誠 153
 一 「社会解体」概念の変遷 155
  1 社会の変動過程を把握する概念
    ―『ポーランド農民』における社会解体 ― 156
  2 新たな集団の創発の契機としての社会解体
    ―スラッシャー『ギャング』 ― 159
  3 地域社会の「凝離」を象徴する概念としての社会解体
    ― ゾーボー『ゴールド・コースとスラム』― 161
 三 科学的概念への変質 164
  1 コミュニティの非行率の差異を説明する理論的視点としての社会解体
    ―ショウ他『非行地帯』(一九二九)とショウと
     マッケイ『少年非行と都市地域』(一九四二)― 164
  2 ショウ以降の社会解体の研究 168
 四 「社会解体」概念の意義 170

第八章 クリフォード・ショウの非行研究 玉井眞理子 174
 一 社会過程からみた非行現象 176
  1 逸脱行為への関与 178
   (1) 遊びとしての逸脱行為 178  
   (2) 問題状況の解決手段としての 逸脱行為 179  
   (3) 自尊心の回復手段としての逸脱行為 181
  2 逸脱の継続・深化 182
   (1) 日常化した態度としての逸脱行為 183  
   (2) 問題状況の解決の 手段としての逸脱行為 184     (3) 将来のモデル像に接近する上で
       当然なされるものとしての逸脱行為 185
 二 非行現象がもたらされる社会構造 187
  1 シカゴにおける少年非行の分布状況 187
  2 シカゴの地域的特徴 189
 三 都市コミュニティ全体における非行多発地域の位置 191
  1 遵法的価値基準との関係によってもたらされる逸脱 193
  2 親文化との関係によってもたらされる逸脱 194
 四 おわりに ―クリフォード・ショウの非行研究の今日的意義 ― 196


第三部 シカゴ学派の背景・基盤
第九章 一九二〇年代シカゴと都市的世界 吉原直樹 202
 一 シカゴへ 202
 二 言葉でつくられた街 204
 三 アンダーグラウンド・パラダイス 208
 四 痛む背中の街 211
 五 「おれたちの世界」と「やつらの世界」 213
 六 無宿者の港、そしてホボヘミア 217
 七 ほんもののシカゴ 220


第十章 初期シカゴ学派とフィランソロピー 高橋早苗 225
 一 国家的背景と社会科学 226
 二 地域社会とLCRC 233
  1 改良運動の興隆 233
  2 地域改良家と社会科学の協同 237
 三 むすび 240
あとがき 245とがき 000

ウィンドウを閉じる