|はじめに|

 近年,澱粉,糖類等の炭水化物(糖質)を,酵素,化学修飾により,改変・改良して新しい機能を付与し,工業的に大量生産する糖質工学の研究が進展してきており,多くの試験研究機関等において様々な技術開発が行われております.
 一方,米,芋等炭水化物を主体とする国産農産物は,過剰基調で推移してきており,既往の需要は飽和状態であることから,それらの利用拡大にあたっては,新技術を導入しつつ炭水化物の改良を行い,例えば,新規糖アルコールの開発や抗腫瘍性飲料の生産技術の開発により新たな用途の開発,付加価値の向上を図っていくことが不可欠となっており,糖質を対象にした新技術である糖質工学を応用し,炭水化物の新規用途の開発や機能性の向上等の技術開発を実施し,国産の炭水化物資源の利用拡大を推進することが緊急の課題となっております.
 このようなことから,本技術研究組合糖質工学事業部会は,平成 10 年から農林水産省の指導,助成のもとに,食品製造,薬品製造等の 9 社による幅広い業種の技術力を結集して,大学並びに独立行政法人等の試験研究機関の学識経験者の指導,助言を得ながら (1)糖質変換及び有用糖質作出技術の開発,(2)有用糖質等の効率的な製造技術の開発,(3)その他糖質工学を応用した炭水化物の多面的利用技術の開発を目的として,8 課題について研究開発事業を実施して参りました.
 この度,5 カ年間にわたる各組合員企業の研究成果を公表し,その集大成ともいうべき論文集を刊行することになりました.
 本書は,組合員企業の研究課題毎の研究成果はもとより,本研究にご指導,ご助言を賜りました学識経験者の諸先生に特別寄稿論文のご執筆もいただいて,炭水化物の多面的利用技術の応用化・実用化等の幅広い知見を集約した貴重な論文集となっております.
 今後の炭水化物利用技術の一助となれば誠に幸甚と考えます.  

ニューフード・クリエーション技術研究組合 理事長  佐竹幹雄

 
ウィンドウを閉じる