|はじめに|

 近年、食品廃棄物の発生の抑制が緊喫の課題となる中で、食品産業においても廃棄物の減量化が課題となっています。
 食品産業においては、現状の活性汚泥法による排水処理技術では、大量の汚泥を発生させ(BOD 負荷の 40 %程度)、廃棄物の 8 割が汚泥となっており、十分な減量対策が講じられていないことから、これらの汚泥の有効利用とともに、排水処理技術対策と組み合わせた汚泥発生の低減化が緊急の課題となっています。
 このようなことから、本技術研究組合のエコシステム事業部会は、平成 10 年 4 月から農林水産省の指導、助成のもとに、食品製造、機械装置、エンジニアリング等の 14 社による幅広い業種の技術力を結集して、大学、独立行政法人の試験研究機関の学識経験者の指導、助言を得ながらメタン発酵技術、オゾンを用いた処理技術、物理粉砕と化学処理技術を利用した処理技術、鯖節製造廃液の有効利用・処理技術、食肉加工場のトータルサイト解析に基づく廃水・汚泥削減技術等の 12 課題について研究開発事業を実施して参りました。
 このたび、約 4 年間にわたる各組合員の研究成果を公開発表し、その集大成ともいうべき論文集を刊行することになりました。
 本書は、組合員の研究課題ごとの研究成果はもとより、本研究にご指導、ご助言を賜りました学識経験者の諸先生の特別寄稿論文の執筆も頂いて、排水処理技術の基礎的技術から応用化・実用化までの幅広い知見を集約した貴重な論文集となっています。
 今後の食品産業における排水処理技術の開発向上の一助となれば誠に幸甚と考える次第であります。

  平成 14 年 11 月
食品産業環境保全技術研究組合
理事長 佐々木 堯

 
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