|はじめに|

1976年に著者の一人(野中)は、学生が教室でノートをとるときの補助とする目的で「食品保蔵学要論」を書いた。これは東京水産大学の練習航海海鷹丸に乗船した2カ月余りの短期間に書き上げたものであるから、項目の取捨選択にやや適正を欠いたばかりでなく、校正も不十分で読者に大変ご迷惑をかけたが、細部にとらわれず重要事項のみの記載に留めた点を評価してくださる方もあった。

 ところが一方では、本だけを読む者にとってはひどく不親切であるというご批判もいただいた。これは上に述べた主旨からやむを得ないことであるが、このご批判に応える意味で、前記「食品保蔵学要論」を敷衍し、また著者に小泉博士に加わっていただき全面改稿を施したのが本書である。脱稿してから改めて通読してみると、各項目の記述に精粗のあること、特に水分についてかなりの紙面をさいていることが気になった。しかしながら、水分の問題は食品保蔵の根幹をなすものであるから、意識的に記述の比重を高めたことも事実である。

(以下省略)

2000年3月

 
ウィンドウを閉じる