|はじめに|

 ニューフード・クリエーション技術研究組合は,平成 6 年 9 月,農林水産省の指導,助成のもとに,食品製造業等の 13 社が結集して設立されて以来,大学,試験研究機関の学識経験者の指導・助言を得ながら,官,学,産の連携のもとに平成 10 年度までの 5 年間にわたり研究開発事業を実施して参りました.
 昨今,消費者の健康志向の高まりや急速に進む高齢化社会を迎え,国民の健康に対する願望がますます高まってきております.また,一方では,生活習慣病の増加や若年層の健康状態の悪化など現代社会が抱える問題として指摘されております.病気にかかる以前にそれを予防するための食生活の改善が重要な課題となっております.
 これらのことから,健康の維持・増進に効果のある生体調節機能を持つ付加価値の高い食品に対する社会的要請はより強くなってきております.
 わが国における食品の機能に関する研究が始められてから久しくなり,現在様々な分野で多くの研究や製品の開発が進められておりますが,技術研究組合による事業においても,バイオテクノロジーの手法を用いた食品製造技術の確立を目指した,食品機能の変換及び高度化技術の開発,機能性成分を効率的に分離・精製するハイセパレーション・システム,酵素の変換技術の開発や食品の生理活性物質の機能変換技術の開発事業等多くの研究が進められて参りました.
 当組合におきましても,これら社会的要請の高まりを受け,食品の機能性について追求し,多様な原料から新しい機能を有する食品や食品素材の開発及びその効率的生産技術の開発を目標に,13 の組合員がそれぞれ個別の研究課題に取り組み,組合員相互に研究を補完しあいながら共同で研究を進めるとともに,1997年には,欧州における大学や研究機関を訪問し,先端的な食品科学の現状の調査と技術交流を行うなど,国の内外における情報の収集,施設の調査など,新しい技術の導入を図りながら事業を行って参りました.
 平成 10 年 3 月をもって 5 年間の事業が終了いたしましたが,この間,農林水産省をはじめ学識経験者委員の適切なご指導を頂き,組合員各位のご尽力により,当初の目的をほぼ達成することができました.今後は,これらの成果をもとに,実用化に向けてさらに研究を発展させることにしております.
 このたび,5 年間にわたる研究成果の公開発表会を開催するに当たり,本事業における個別研究課題の成果を取りまとめ,また,長年研究をご指導頂きました学識経験者委員の先生方に特別にご執筆を頂き,発表会のテキストとして論文集を刊行することができました.
 本書が,食品の機能性並びに食品の開発に広く携わっておられる方々に,多少なりともお役に立つことができることを念じております.
(以下省略)


平成 11 年 11月
ニューフード・クリエーション技術研究組合
理事長  村 上 英 彦

 
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