|はじめに|

 最近の地球規模での環境問題への関心の高まりの中で,わが国においても適切な環境対策の確立は焦眉の課題となっております.とくに食品産業は原料に由来するBOD,油脂,食塩などの特定成分を高濃度に含有する排水を多量に排出するという特徴があります.そのため,従来の技術で経済的,効率的に処理することが難しく,食品産業の排水に適した処理システムの開発が望まれております.一方,廃棄物処理をめぐる法的規制は年々強化されてきており,この面からの対応も必要になって参りました.


 このようなことから,食品産業クリーンエコシステム技術研究組合は,平成 2 年に農林水産省の助成のもとに,食品,機械装置,建設業など 23 社が結集して設立され,3 年間の研究開発事業を実施しました.その成果は平成 5 年 11 月に公開発表され多大の反響を頂きましたが,最近進歩の著しいバイオテクノロジーなどの技術を導入して,微生物を利用した排水処理技術のシステム化を図るため,さらに平成 5 年度から 2 年間の研究事業として,食品,機械装置,建設業など 14 社による異業種間の共同研究である「食品産業微生物利用排水システム化技術の開発」事業を実施し,本年 3 月で終了致しました.


 この度,後期研究事業の 2ヶ年にわたる研究成果の概要を公開発表することになり,本書の刊行を計画致しました.研究テーマによっては既に技術的に確立され実用化に着手されつつあるもの,また実用化の一歩手前にあるものなど,研究の進展レベルは多様ですが,今までになかった多くの知見が取得できることは間違いないと思います.前回刊行致しました「食品産業のための最新バイオ水処理技術」の続編として両者併せてご利用頂ければ幸いです.前回と同様に巻末に参考資料として排水規制の最新の数値を農林水産省から頂き掲載しましたので,お手元で有効にご活用頂けるものと存じます.
(以下省略)
平成 7 年 11 月
食品産業クリーンエコシステム技術研究組合
理事長 小 出 和 夫

 
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