今回、恒星社厚生閣から『食料工業』が刊行されることになった。実はこの「食料工業」という書名は、もとをたどれば、昭和14年、鈴木梅太郎先生の編集で丸善から出版されたものが嚆矢であり、同一書名のものは戦後、昭和37年と45年の再度にわたり、桜井芳人先生らの編集で恒星社厚生閣から刊行され、わが国食料工業の全貌を製造技術面から詳述し、関連領域に大きく貢献したものといわれている。

　爾来15年を経、今日のわが国の食品産業を取り巻く環境は大きく変化し、またその製造技術は大きく進展し、従来のものでは対応不可能な側面を呈しているように思われる。ことに食品原料の多様化、販売形態の複雑化、また減塩問題などに代表される“健康食品”への関心の増大、食生活全般の多様化など。一方、業界内部においては、一層の省資源・省エネルギー、衛生管理・公害対策などが重要となり、これに多大の努力が払われている。

　このような時代の要求に応じた新『食料工業』の発刊を目指し、編者一同が相謀り企画したのが本書である。 　企画に当って、食料工業の現況を製造技術の面より紹介していただくとともに、上述した今日的諸問題にも十分言及していただいた積りである。また国際化する食品業界の規格制度、品質管理法などを資料篇として付したのも本書の大きな特色で、関係者のよい指針となることを念じている。

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