|はじめに|
 日本で本格的な環境影響評価法は施行されて、10余年たち、また環境アセスメント学会が設立されて、10年が経過した。本書は、本学会の創立10周年記念事業の一環として、環境アセスメントの今日の学術的、実務的知見を集大成し、学部、大学院学生や環境アセスメントの専門技術者をめざす方たちに利用いただける標準的なテキストとして編集したものである。これまでにも環境アセスメントに関するテキストは少なからずあるが、環境アセスメント学の全体像をコンパクトに鳥瞰できるものは余り見当たらない。そこでこれから環境アセスメント学を学ぼうとする初学者や学生諸君、さらには新たにこの分野の行政実務等にあたることとなった方々を念頭に置いて、可能な限りわかりやすくコンパクトにこのシステムの全体像を把握できるようとりまとめてみた。
 本書は、大学、大学院における講義テキストとして活用できるように構成されている。前期15回、後期15回の30講として消化できる内容としているが、文系、理系、文理融合系のいずれの分野で行われる講義においても、一つの方向性をもって講義に利用できるように構成した。また、1講ごとに1〜2セクションを利用して、およそ90分の講義で完結できる内容としている点もまた本書の特徴の一つである。
今日、環境アセスメントは、持続可能な社会の構築に向けてグランドデザインを描く上での意思決定に関わる有用なツールである。環境アセスメントを学び、それらの作業に携わる多くの方たちに本書が活用されれば、執筆者一同、望外の喜びである。
 なお、本書は10周年記念事業としての出版という限られた時間の中での作業であったため、最終的には、企画編集会議の編集担当者が全体を読み直して、大幅に修正させていただいた箇所も少なくない。この点については執筆者の方々にお詫び申し上げるとともに、ご寛容のほどをお願いしたい。
(後略)
 
2012年9月
  環境アセスメント学会
  10周年記念出版企画会議
  委員長 浅野 直人
  副委員長 柳 憲一郎

 
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