|はじめに|

 地球温暖化防止のための京都議定書が 2005 年 2 月16 日に発効し,今や世界中の目はこの温室効果ガスの抑止に注がれている.しかしながら,われわれを取り巻く海の環境は,依然として環境ホルモンをはじめとして,石油や重金属による汚染や富栄養化が進行し,新しい種類の赤潮による漁業被害も跡を絶たないのが現状である.したがって,今まで以上に,きめの細かい海洋環境の研究・調査,とりわけ微生物に関わる調査が必要である.
 このような調査・研究のための指針となる「海洋環境アセスメントのための微生物実験法」を 2000 年に恒星社厚生閣から出版し,今日まで,この分野に携わる研究者や学生諸氏の調査・研究に貢献してきた.しかしながら,本実験書を利用している執筆者のうちから,新しい手法の紹介も必要であるとの指摘もあり,今回,前出版に代って「増補・改訂版 海洋環境アセスメントのための微生物実験法」を出版することになった.是非とも,海の環境問題の解明に利用していただくことを切に願っている.
 この出版と並行して,その分野の専門家たちが分担執筆した大学生低学年のために教科書として,「海の環境微生物学」(恒星社厚生閣)が昨春出版された.また,編者の 1 人が高学年の大学生のために出版した「海洋微生物の分子生態学入門」(培風館,2001 年)も併用していただければより理解を深められるだろう.

以下省略

 
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