|はじめに|

 本書は、魚介類のウイルスおよび細菌感染症、診断法、水産用抗菌剤、治療法、ワクチンによる予防、水産用医薬品の投与法、消毒法などの最新情報を総括的に網羅し、魚介類の治療と予防を多角的に紹介したものである。
 また現在、微生物感染症の治療と予防法が多様化、分散化したため、それぞれの分野の第一線で活躍されてきた研究者の方々に分担執筆をお願いし、できる限り最新の情報を取り入れるよう配慮した。
 本書は、特に、分子遺伝学手法を用いた最先端の研究や手法を各章で取り上げ、基礎を学ぶ学生から専門分野で活躍する研究者、現場での対応を行っている指導者にまで幅広く参考にしてもらえるように企画した。
 本書が読者の参考になるとともに、魚病学の発展に寄与し、さらに、養殖業および関連産業の発展に貢献できれば幸いである。
 最近の科学の発展には目覚ましいものがあり、本書で紹介した研究手法も日進月歩で進化している。今後、さらに洗練された革新的な方法が考案されてくる可能性があり、多くの方々の忌憚のないご指摘を寄せて頂くことにより、新たな企画を元に、改訂版が刊行されることを願っている。
 本書の企画にさいして、東京理科大学薬学部教授であった小原康治先生には、多くのご助言を頂いた。また、本書の一部執筆をお願いしていたが、その執筆を完成されずに急逝された。誠に残念であるが、記して先生のご冥福をお祈りする。
 (後略)
2013 年7 月
                青木 宙

 
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