|はじめに|
 ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)は水産脂質の健康性機能を象徴する成分である.1990 年代初頭は EPA こそ少しは一般に知られ始めていたが,DHA に至っては世間でその用語を知る者はほとんどいなかった.それが今日では DHAということばを知らない者はほとんどいない.当然,この間の学術的進歩には目覚しいものがある.高度不飽和脂質はエイコサノイドを介した多様な生体応答の要を担うばかりでなく,細胞の正常な複製,活動や機能維持においても極めて重要な働きを演じていることがこの 10 年で次第に明らかになってきている.
 このような学術的に裏打ちされた水産脂質の機能を広く社会に役立つようにすることは水産学会の重要な責務の一つである.そのためには水産脂質の給源,供給,利用形態について関連付けを意識しながら研究がなされていくのが望ましい.かかる認識の下,平成 16 年 4 月 5 日に鹿児島大学で日本水産学会の主催により,下記シンポジウムを開催した.
 
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