|はじめに|

 近年,食品業界では世界的に HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point:食品の危害分析重要管理点方式)という新しい衛生管理システムの導入への気運が高まっている.このような変化の背景には世界の食糧貿易の増加とそれに伴う新興・再興感染症の世界的な拡大がある.わが国でも最近食品衛生法が改正されたが,その重要な改正点は HACCP の考え方を取り入れたことである.
 欧米先進国では,近年健康志向から魚介類消費が増大してきたためその危害に対する警戒が強く,米国,EU では水産物が真っ先に HACCP 規制の対象となっており,わが国からの輸出水産物も同等の規制を受けることになる.
 このような情勢のもと,HACCP について理解を深め,水産物 HACCP の微生物学的および化学的危害因子についての最新の知見をとりまとめ,また HACCP 導入に当たっての問題点などを整理しておくことは,今後のわが国における HACCP の展開にとって意義あることと考え,下記のシンポジウムを,平成 12 年 4 月 5 日に日本水産学会の主催により,東京水産大学において開催した.
 本書はこのシンポジウムの講演内容を中心に取りまとめたものであり,これらの成果が水産物の安全性確保のために貢献できれば幸いである. (以下省略)

平成 12 年 6月
藤井建夫
山中英明

 
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