|はじめに|

 水産学に関連のある用語辞(事)典あるいは用語集は,これまでにかなりの数のものが出版されており,最近刊行された文部省学術用語集農学編の中にも,限られた数ではあるが水産学用語が収録されている.
 社団法人日本水産学会では,かねて「水産学用語辞典」刊行の構想を練ってきた.これは,必ずしも統一のとれていない水産学専門用語の表記法を標準化することが研究成果の効率的普及と利用のために極めて重要であり,本学会としてもこの課題に取り組むべきであるという認識に基づくものである.この計画を具体化するため,1985年12月に出版委員会の中に「水産学用語辞典編集委員会」が,また,1986年2月に同編集委員会の中に5つの専門部会が設けられ,それぞれ役割を分担して編集作業を進め,このたび上梓の運びとなった.
 この辞典は単なる用語集ではなく,辞典としての機能を持たせて利用者の便に供したいと考え,各用語にかなり詳しい解説を付けた.また,巻末には主要水産動植物の和名,学名,英名一覧表を載せた.さらに,英語論文作成にも役立てたいと考え,各見出し語には可能なかぎり英語を併記し,英語索引も付けた.したがって,この用語辞典は,水産学の研究者・教育者・大学院生・学生ならびに水産業関係者が多目的に利用できることはもちろん,水産関係以外の方々にとっても利用の途が多いものと考える.
 本用語辞典の編纂に当たっては多くの困難に遭遇したが,なかんずく見出し語の選定とその表記法の選択には大胆な決断を要することが多かった.これらについては関係者からご意見をいただき,改良してゆきたいと考えている.
(後略)

1989年3月
         社団法人日本水産学会 会長 須山三千三
       水産学用語辞典編集委員会 委員長 鴻巣章二

 
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