|はじめに|

 地球温暖化(global warming)に対する懸念が、世界の多くの国の科学者たちにより表明され、その原因は、人類の産業活動から排出される炭酸ガス(CO2)の大気中における蓄積によるのだ、とされている。このガスの排出をいかに押さえ、地球環境を維持するかについて、各国の首脳による国際会議や、多くの人々による作業部会が頻繁に開催されるようになっている。しかしながら、先進諸国と発展途上諸国との間では、炭酸ガス(CO2)排出をめぐる規制条件などでは合意に至らず、今後にいろいろな課題を残したままとなっている。
 本書で、著者の私が意図したのは、地球温暖化の原因が炭酸ガス(CO2)の大気中への蓄積にあるのだと示唆する、国連内部に設置された“気候変動に関する政府間パネル(IPCC)”による評価については、一応傍らにおいておき、気候変動に果たす太陽の役割について、現在手に入れることのできるいろいろな観測データを分析し、明らかにすることであった。そのような試みのために、かなりの数にのぼるグラフが使われることになったが、それらを丁寧に見て頂くことで、本書を手にされた方々に、著者の意図を了解して頂けるだけではなく、過去一二〇年余りにわたって進んできた地球温暖化の真の原因について考えて頂けるものと確信している。
 本書で示されるたくさんのグラフを、偏見をもたれることなく見て頂ければ、地球環境の維持に果たす太陽の役割について理解し、更に、地球温暖化の原因がどこにあるのかについても見通して頂けるはずである。著者の私は、このように確信しているのである。グラフに示されている事実が、私たちに語りかけてくれるからである。(後略)
                       二〇一〇年五月                          桜井邦朋

 
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