|はじめに|

 現在では、反射望遠鏡の実物を見ることなしに自作するといったことは稀なことでしょう。
 私の少年の頃には、反射望遠鏡はおろか、屈折天体望遠鏡でさえ実物を見ることは地方ではほとんどできなかった。
 私などは実物を全く見ることをしないで数台の反射望遠鏡を自作した。
 今では専門の月刊誌が発行され、小さな町の眼鏡店にまで天体望遠鏡が店頭に飾られていて、知識を得ることが大変便利となった。
 その反面、地上の夜光の氾濫と空気の汚れは、ますます星の姿を夜空から消し去っている。
 こうした環境の中にあって、星を愛し、より良くこれを見つめようと情熱をもやすアマチュアはその数を益しさえしている。
 こうしてアマチュアの望む望遠鏡は、その口径を増大させ、質的向上が望まれている。本書はこうした要求にお応えすべく、数年前からその改訂を求められておりました。
 ことに最近では光学部品やマウンチング資材の全てに渉って、種々の製品が出現し、自作に便利となってきたことは私たちアマチュアにはこのうえなくうれしいことです。
 (後略)

星野 次郎

 
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